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胸部の肺あるいは心臓などの臓器や胃腸・肝臓などの腹部臓器は、それぞれ、胸膜・腹膜・心膜という膜に包まれています。
これらの膜の表面をおおっているのが「中皮」で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。
中皮腫には、その発生部位によって、胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫などがあります。
また、中皮腫には、悪性のものと良性のものとがあります。
悪性のものには限局性とびまん性とがあります。
良性のものは、すべて限局性です。
胸膜および腹膜中皮腫は、そのほとんどがアスベスト(石綿)の吸引により発生します。
アスベストに曝露してから、中皮腫が発生するまでの期間が長いのが特徴で、最短で20年前後、平均で約40年程度かかります。
胸膜中皮腫はすべてのアスベストが原因となる一方、腹膜中皮種は、クリソタイル(白石綿)では起こりにくいです。
中皮腫患者のほとんどは過去に何らかのアスベスト曝露歴がありますが、特に女性では、明らかな曝露歴が見当たらない場合もあります。
喫煙によって、アスベストによる肺がんリスクは強められますが、中皮腫のリスクが強められることはないものと考えられています。
中皮腫の死亡率は、1995年以降、男性で増加傾向、女性では横ばい状態で、中皮腫で亡くなる人の数は、男性が女性の約3倍、死亡率でも男性が女性の約4倍です(2004年)。
中皮腫による死亡は高齢者に多く、中皮腫による死亡全体のなかで、65歳以上の占める割合は男性で約7割、女性で約8割です。
日本のアスベスト輸入量のピークは70年代半ばであり、潜伏期間が平均40年とされていることを考えると、今後、日本の中皮腫の罹患および死亡は増加することが予想されます。
良性の中皮腫は、他の臓器へ転移したり、周囲の臓器へ浸潤するような進み方をすることはありません。
あまり症状がなく、検診の胸部単純X線写真でたまたま見つかったりすることがあります。
しかし、まれには巨大なかたまりとなり、胸痛・咳がおこったり肺や心臓を圧迫して呼吸困難を伴うこともあります。
また、腹膜の良性中皮腫もたまたま手術の際に見つかったりします。
一方、悪性の中皮腫は限局性のものもありますが、一般にはびまん性に胸膜あるいは腹膜などに沿って広範に拡がっていきます。胸膜のびまん性悪性中皮腫では、大量の胸水貯留による呼吸困難や胸痛がおこります。
胸壁のしこりを触れるようになることもまれにあります。腹膜の悪性中皮腫では腹水貯留による腹部膨満などがおこります。
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